エストロンEIA キット (YK180)
ヒトのエストロゲンには20種類以上のものが知られていますが、そのうちの1つであるエストロンは女性ホルモンとして性機能の発達と妊娠機能に深く関与しています。エストロゲンを合成する酵素の1つであるアロマターゼは、コレステロールから性ホルモンを作る経路においてアンドロステンジオンをエストロンに可逆的に変換する酵素であり、性ホルモンのバランスの調節に重要な役割を果たしています。近年、このアロマターゼに何らかの影響を与えることによって女性ホルモンの合成そのものに影響を与え、性分化や生殖機能の異常を引き起こす環境ホルモンの存在が知られるようになりました(アトラジン、有機スズなど)。さらに、河川水や排水などの環境水中にもエストロンなどの女性ホルモンが検出され、魚類が生殖異変を起こしていることが問題となっています。こうしたことからアロマターゼ活性を利用した環境ホルモンのスクリーニング法が用いられるようになりました。実際には、ヒト卵巣顆粒膜細胞株KGN細胞にアンドロステンジオンを添加し、アロマターゼの作用によって変換・生成するエストロンをエストロンEIAキットにより測定する方法や遊離〔3H〕H2Oの放射活性を測定する方法があります。これらの方法ではアンドロステンジオンから変換・生成したエストロン量を測定することにより、アロマターゼ活性に対する影響を間接的に判断できます。しかしながら、エストロンEIAキットについてはこれまでアンドロステンジオンやテストステロンとの交差反応性によりバックグランドが高いなどの問題があり、また、遊離〔3H〕H2Oの放射活性を測定する方法については放射性同位体(RI)を使用しなければならない上、測定に煩雑な操作と時間を要するのでスクリーニングに適したものとはいえませんでした。そこで、弊社では今回、非放射性測定系で抗体の特異性によりバックグランドの問題などを解決した新しいエストロンEIAキットを開発いたしました。本キットはアンドロステンジオンやテストステロンとの交差反応性が極めて低く、河川水や排水などの環境水中のエストロンを特異的かつ高感度に測定できます。さらに、培養液中におけるアロマターゼ反応の生成物の1つであるエストロンについても測定することが可能です。
▼ 定価76,000円です。
▼ 4.8~5000 pg/mLの範囲で測定できます。
▼ 環境水および培養液サンプルの測定ができます。
▼ 検体量は100 μLです。
▼ 同時再現性 環境水 CV(%) 5.75~15.99培養液 CV(%) 3.70~15.59
▼ 日差再現性 環境水 CV(%) 5.98~14.50培養液 CV(%) 4.90~19.69
<交差反応性>
化合物 | 交差反応性(%) |
Estrone | 100 |
17β-Estradiol | 30.6 |
Estriol | 0.4 |
Testosterone | <0.0049 |
Progesterone | <0.0049 |
4-Androstene-3,17-Dione | <0.0049 |
Cholesterol | <0.004 |
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