コルチコステロンEIA キット (YK240)
コルチコステロン(Corticosterone)は、コルチゾール、コルチゾンと同様に副腎皮質から分泌されるグルココルチコイドの一種であり、ライヒシュタインのH物質、ケンドルのB化合物ともいいます。コルチコステロンは体内でコレステロールから一連の酵素反応を経て合成され、脳下垂体前葉ホルモンACTHにより分泌がコントロールされています。また、コルチコステロン自身、アルドステロンの合成前駆体となります。コルチコステロンは糖質代謝、電解質代謝に影響を及ぼし、また免疫抑制作用、抗炎症作用などを示します。一方、副腎の17α-ヒドロキシラーゼ活性がほとんどない動物(ラット、マウス、ウサギ、鳥類、両生類、爬虫類など)では唯一のグルココルチコイドとなります。コルチコステロンの日内変動についてはよく知られており、夜行性のラットなどでは、ヒトとは異なり、夜明け前の分泌が低く、夕方が最も高いパターンを示し、睡眠―覚醒に決定的な役割を果たしているとされています。また、その分泌はストレスとの関連性が高く、尿中濃度の測定など非侵襲手法によるストレス度測定に有効なバイオマーカーとして注目されています。その他、コルチコステロンとストレスの関係については、ストレスによる長期記憶力損失の回復、食事制限による慢性的な分泌増加とストレス応答の増加、熱傷に対する分泌応答など幅広い領域で研究されています。
コルチコステロンは血中ではその80%以上がCorticosteroid Binding Globulin (CBG)と呼ばれるたんぱく質と結合しているため、従来、血中コルチコステロンの測定に際しては、CBG 結合の影響を取り除くため煩雑な抽出作業を行わなければなりませんでした。今回矢内原研究所が新たに開発した「コルチコステロンEIAキット」は、そうした抽出作業を必要とせず、検体をキット添付の希釈液で希釈するだけで検体中のコルチコステロンを直接測定することができる、きわめて簡便かつ有効なツールとして活用できるものであります。
▼ 定価84,000円です。
▼ 0.21~50 ng/mLの範囲で測定できます。
▼ 血漿、血清、尿、細胞・組織培養液などのサンプルの直接測定ができます。
▼ 検体量は10 μLです
▼ 同時再現性 CV (%) 2.5~4.7
▼日差再現性 CV (%) 7.7~9.8
<交差性>
抗コルチコステロン抗体の各種ステロイド類化合物との交差反応性
化学物質名 | 交差反応性(%) |
Corticosterone | 100 |
11-Deoxycorticosterone | 15.5 |
11-Dehydrocorticosterone | <11.4 |
Progesterone | <5.9 |
Androstenedione | <5.4 |
Testosterone | <3.9 |
Aldosterone | <1.7 |
Cortisol | <0.5 |
Cortisone | <0.4 |
Prednisolone | <0.34 |
Betamethasone | <0.1 |
Dexamethasone | <0.09 |
Triamcinolone | <0.08 |
Prednisone | <0.06 |
Pregnenolone | <0.06 |
DHEA | <0.05 |
Estradiol | 0 |
Cholesterol | 0 |